Howinteresting!JapaneseExpression.


こんにちは、kay(ケイ)です!

どの国にも慣用句や諺、古くからの言い回しがありますが
日本のそれは歴史や文化背景に精通していないと
理解するのが難しいかもしれません。

西洋文化だと圧倒的に聖書やギリシャ神話、
シェイクスピアなどの引用が多くなって
それはそれで歴史を見ていく必要があるのですが、
東西比べてみればそこに日本文化の個性が際立ってくるのです。

他人の土地や町を奪って大きくなっていく大陸文化とは
比較にならないほど和を尊び、
あらゆる知恵を効かせたガラパゴスな日本文化は今や、
世界中の人たちから
羨望の眼で見られています。

今回は今どき日本人でもあんまり使わない?
というようなユニークな言い回しについて
お話しようと思います。

今日もお付き合いください。

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敵に塩を送る

敵に塩を送る

これ、みなさんも聞いたことあると思います。

日本の歴史的事象や
言い伝えなどから成り立つ言い回しを、
古事成語というんだそうです。

その昔、戦国時代に

現在の山梨県(甲斐)を中心とした

勢力であった武田信玄は

今川や北条によって

塩を入手できなくなり

追い込まれてしまいます。

その窮地を救ったのは

長年のライバルであった

越後の上杉謙信です。

「我々の戦は武力のもので、

生活必需品のものではない。」

との手紙をしたため

商人たちに公正な価格で

武田領に塩を販売させた、

という逸話が日本外史に

載せられています。

つまり、

敵の弱みにつけ込むのではなく

逆にその苦境から救うことの

例えなのです。

戦国時代の武将たち

この逸話は

様々な角度(立場)

地政学の観点などから

当時の武将たちのキャラクターを

窺い知ることができてとても面白い。

のですが、ここでは

信玄と謙信に焦点を絞って

その時代の名将たちの

道徳心や正義感に触れてみます。

「甲斐の虎」と呼ばれた

猛将、武田信玄は

甲府という内陸の土地に

治水を施したことでも有名です。

自国を守るために

他方へ攻め入ったという

信玄公の姿勢は

勇猛果敢でありながら

冷静な戦略家だったのでは、

と想像します。

一方で

「越後の龍」と謳われた

上杉謙信は

生涯ほぼ負けなし、

の戦経験を誇りますが

無欲と義の武将として

とても慕われていたそうです。

この二人は長い間

文字通りにらみ合い、

十一年の間に五度の

衝突があったとされています。

そこまで対立していれば

どちらかに弱みがあれば

容赦なく叩く、というような、

武将なんだから

手を緩めるな、戦え。

何だかそんなイメージを

私は持ってしまいます。

ところがどうでしょう。

塩を送った謙信の

正義感や公正さ。

送られた塩を

無駄にするは恥。

と、その義に義で応えて

立て直しを図った信玄。

この情景を

今の時代に思い浮かべるのは

本当に至難の業だと思います。

令和に生きる私は

何と想像力の乏しいことか、

と情けなくなってしまうのです。

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ケチケチしなさんな

現代の私たちの考え方は

概ね西洋文化にやられちまってます。

いえ、いいんです。()

それが悪いわけじゃない。

もちろん私だって

数々の恩恵を受けてます。

けれど私には

当時の信玄や謙信の関係に

陶酔することはできても

自分が似たような

立場に置かれた時、

(もちろんレベルは違いますが)

純粋に、「敵に塩を送る」

という想像力があるか?

もしくはライバルから

送られた純粋な親切に

いじけず、背を向けずに

応えることができるのか?

ほとほと考えてしまいます。

語源のお話や

今までの使われ方を見ても

「敵に塩を送る」は

とても気高い行為であると

日本人なら同じ認識を

持っているでしょう。

ところが、

現代の使われ方では

「これでは、敵に塩を

送るような事にならないか?」

というような、

どうも、みみっちい

というか(笑)

大変に了見の狭い考え方が跋扈しているようです。


塩を送ってなお、

フェアに闘うって

今では、もはや誰も

やりたがらないのでしょうか。

こんなに素晴らしい

道徳観のある先人たちから

残された言葉を使うのでさえ

「いや、これじゃあ

あいつが得をする。」

ってな感じで

見て見ぬフリをしてしまう。

そんな今の日本はいったいどうなんでしょう?

私の祖母が生きていたら
「ケチケチすんじゃないよ、
困ってんだから送っておやりよ。」
と即座に言うと思います。(笑)

外国人が日本に興味を持って

日本語がわかるようになると

自分の好きな武将を

あげてくれる人がいます。

その歴史を読んで

日本が好きになったんだ、

と熱く語ってくれたりもします。

それでこちらが

勉強することも多々ありますが

何しろ古事成語や諺など、

神話から始まったこの国には

先人たちの叡智が詰まっています。

せっかくこの国に

生まれ育ったのですから

少しでも多くの他国の人に

その叡智のかけらを手渡したい。

それはもちろん

祖母のようにケチケチせずに

広い心持ちで、です。


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